ヒーター1台買うだけで家じゅうが暖かくなったらいいのに…でも現実はそうはいきません。
種類ごとに暖め方がまったく違うからです。
足元だけを暖めるもの、狭い場所を一気に暖めるもの、部屋の温度をゆっくり上げるもの。
どれも「ヒーター」という同じ名前で売られています。
買ってから「暖まらない」と感じる原因は、性能不足ではありません。
使う場所と、暖め方がミスマッチなだけです。
だから最初に決めるのは、機種でも予算でもありません。
どの部屋で使うか、です。
あなたのお家で寒いのはどこですか。
ヒーターは使用場所で正解が違う
ヒーターの暖め方は、大きく3つしかありません。
| 暖め方 | 何が得意か | 代表的な種類 |
|---|---|---|
| 温風を出す | 狭い場所をすぐ暖める | セラミックファンヒーター |
| 熱を放つ | 近くにいる人・体を暖める | 電気ストーブ、カーボン、グラファイト |
| じんわり温度を上げる | 同じ場所に長くいる人を暖める | パネル、オイル(マルチ) |
つまりこういうことです。
すぐ暖まってほしい場所と、長くいる場所では、選ぶものが逆になります。
脱衣所で服を脱ぐ2分間に、じんわり型は間に合いません。
逆にデスクで4時間座る人に、温風を当て続ける必要はありません。
1台で家じゅうをまかなおうとすると、必ずどっちつかずになります。
寒い場所が複数あるなら、1台で兼ねようとせず、場所ごとに条件を分けて考えるほうが現実的です。
足元・デスク下が寒いならパネル型でOK
デスクの下や、椅子に座ったときの足元だけが寒い。
この条件ならパネル型で決まりです。
理由は、長く座る場所だからです。
温風タイプは足元に風が当たり続けて乾燥します。
パネル型は風を出さず、静かに、囲まれた空間をじんわり温めます。
ただし速暖ではありません。
スイッチを入れて数分で暖かい、という使い方には向きません。
デスク下の足元冷えは、選び方も後悔しやすいポイントも他の場所と大きく違います。
別の記事で条件を整理しているので、当てはまる人はそちらを確認してください。
脱衣所・洗面所・お風呂場が寒いなら速暖の小型でOK
服を脱ぐ数分間だけ、すぐ暖かくしたい。
この条件なら、温風が出る小型のセラミックファンヒーターでOKです。
理由は、滞在時間が短いからです。
ここで必要なのは部屋の温度を上げることではありません。
「服を脱ぐ数分間、寒さを感じない」だけで足ります。
選ぶときに見るのは3つだけ
湿気の多い場所なので、浴室内では使えません。
使うのは脱衣所・洗面所までです。
浴室内で使いたい場合は、浴室用として売られている専用の暖房を選んでください。
トイレなら人感センサー付きでOK
トイレが寒い。
この条件なら、人感センサー付きの小型ヒーターでOKです。
理由は、いる時間が短く、しかも不規則だからです。
つけっぱなしにすれば暖かいですが、電気代が無駄になります。
かといって、そのつど入れて切るのは続きません。
人感センサー付きなら、入ったときだけ動いて、出れば止まります。
「使う時間が短い場所ほどセンサーが効く」ので、トイレはもっとも相性のいい場所です。
見るポイントは脱衣所と同じ3つに、センサーが加わるだけです。
ただしトイレは、脱衣所よりさらに狭くて置き場所が限られます。
出力の大きさよりも小ささとセンサーを優先したほうが、結果的に使い続けられます。
寝室なら静かな輻射型でOK
寝室が寒い。
この条件なら、風も音も出さない輻射型でOKです。
理由は、寝ている間はずっと同じ場所にいるからです。
温風タイプは音が出ますし、顔に風が当たると乾燥します。
輻射型なら、時間はかかっても部屋の温度そのものが上がります。
ただし、ここには但し書きがあります。
輻射型は電気代がもっとも高くなりやすいタイプです。
輻射型というと真っ先に思い浮かぶのがオイルヒーターだと思います。これが、電気代が高くて途中で挫折する筆頭です。同じ輻射型で、少しでも電気代を安く押さえるには、マルチヒーター(1時間あたり約9〜37円)という選択肢もあります。
「思ったより暖まらない」という声も多いのですが、実は暖まっていないわけではありません。
寝ている間中、静かに暖かさが続きますが、時間がかかるので、暖まったことに気づきにくいのです。
つけてから寝るまでに時間を置ける人でないと、良さが出ません。
つまり寝室は、次の2つを両方満たせる人向けです。
どちらか片方でも無理なら、寝室はヒーターではなく寝具側で解決するほうが確実です。
そうでなければ、電気毛布(1時間約1.5円)で寝具側で対応するほうが確実です。
リビング全体を暖めたいならヒーターでは足りない
リビング全体を暖めたい。
この条件だけは、ヒーターを買わないほうがいいが答えです。
理由は、電気ヒーターの出力には限界があるからです。
家庭用のコンセントで使える上限はおおむね1200Wです。
この出力で暖められるのは、せいぜい6〜8畳分の空気までです。
リビングは広いうえに、窓が大きく、天井も高いことが多い場所です。
そこにヒーターを置いても、暖まるのは近くだけです。
「電気代が高いのに部屋が暖まらない」という後悔は、ほぼこの組み合わせで起きています。
設置できるなら、エアコンのほうが安く、速く、部屋全体が暖まります。
エアコンがすでにあるなら、ヒーターは「エアコンが効くまでのつなぎ」か「足元の補助」として考えてください。
主役を任せる家電ではありません。
エアコンが届かない足元だけが寒いなら、その一点はパネル型で埋められます。
1時間あたりの電気代で見るとこうなる
種類ごとの電気代の目安です。
1kWhあたり31円で計算しています。
| 種類 | 消費電力の目安 | 1時間あたり |
|---|---|---|
| パネル型(デスク下) | 約160W | 約5円 |
| 小型セラミック(弱) | 約600W | 約19円 |
| 小型セラミック(強) | 約1200W | 約37円 |
| 電気ストーブ | 約800〜1000W | 約25〜31円 |
| オイル・輻射型 | 約1000〜1500W | 約31〜47円 |
| マルチヒーター(オイルレス) | 約300〜1200W | 約9〜37円 |
| 電気毛布 | 約50W | 約1.5円 |
つまり、暖める範囲が広いものほど、1時間あたりが高くなります。
ここで大事なのは、高い安いではなく使う時間です。
脱衣所で1日10分なら、1200Wでも1日6円ほどです。
一方、寝室で毎晩8時間つければ、1時間30円でも1晩240円です。
同じ機種でも、置く場所で月の電気代は10倍以上変わります。
だから「電気代の安いヒーター」を探すより、
「短い時間しか使わない場所に、最適なものを置く」ほうが、結果として安くなります。
あなたの条件で選ぶなら
寒い場所ごとの答えをもう一度整理します。
脱衣所・洗面所とトイレは「短時間・狭い・すぐ暖まってほしい」という条件が共通しています。
違うのは広さだけです。
脱衣所・洗面所は出力を、トイレはコンパクトさとセンサーを優先して選んでください。
どちらか一方だけが寒いなら、まず1台から始めれば十分です。
